アルコール等影響発覚免脱罪について [法律に関する問題]
本罪は、昨年11月に成立した「自動車運転死傷行為処罰法」において新設されたもので、アルコール等の影響で正常な運転に死傷が生じるおそれがある状態で運転して事故を起こした場合、飲酒等の発覚を恐れて逃げたり、更に飲酒したりして、発覚を免れるような行為をした場合に処罰しようとするもので、いわゆる「逃げ得」を防止しようということで規定されたものです。
既に、平成26年6月に福岡県で同罪で起訴された者がいます。つい先日も、ひき逃げ死亡事件を犯したが、事故後に飲酒したと主張した被疑者がいましたが、結局、事故前の飲酒を認めたようですので、この規定ではなく、危険運転致死傷罪とひき逃げ罪で起訴されるのではないかと思われます。 仮に、この規定がなく、アルコールで泥酔後に事故を起こしたが、ひき逃げをし、翌日逮捕されると、その時にはアルコール濃度が減少しているため、危険運転致死傷罪が適用できず、自動車運転過失致死傷罪と道路交通法違反(ひき逃げ罪)しか適用されず刑が軽くなってしまいます。 この規定の適用があると、ひき逃げ事件と併合罪になるため最高18年の懲役刑を科すことが可能になります)。市民感情としては、悪質な運転による事故には重い刑罰を科すのは当然であり、逃げ得は許されるべきではないとして、歓迎されているようです。
しかし、学者の中には疑問視している者もいます(飲酒運転や逃げるのを肯定しているわけではありません)。ひき逃げ自体は、それ自体、自動車事故とは別罪を構成しますが、それ以上に、犯罪者に事件後正しく行動しなければ処罰される、という法律を罰則をもって規定するのがいいのかどうか、という問題意識です。このあたりは、難しい問題になりますので、これ以上は差し控えます。
飲酒運転が問題であるのは当然ですし、厳罰化も必要かとも考えますが、それだけでは、なかなか飲酒運転は少なくならないようです。どうしたら、飲酒運転はなくなるのでしょうか。いっそ、禁酒法はどうか(冗談です)、という意見はでないのでしょうか。
コメント 0